きょうは怒りに関するお話。
自分の中で「どうしてもパートナーの態度が許せない。」とか、「今日のあの課長の一言が許せない。」とか、怒りの感情が消えないことってありますよね。
怒りの感情自体、感じることは悪いことではありません。私たちは生きている以上、喜びも怒りも自分の感情として湧いてくるものですし、仏様や仙人ではないですから、それを否定して生きていくことは出来ません。むしろ、感情豊かに生きていることは、生き生きとして毎日を生きていることですし、人間らしいと言えるのではないでしょうか。
しかし、いつもでも同じ怒りを自分の中に持っていることは、自分もつらいですし、周りの人との人間関係に支障が出ることもあります。出来れば早くに水に流して、平穏な心を取り戻したいですよね。では、どうすれば怒りの感情をなくすことができるのでしょうか。
1.怒りとは(怒りの正体)
喜怒哀楽と言う言葉があるように、私たちの感情を表す言葉の代表として「怒り」という言葉があるように、怒りの感情は私たちにとってとても身近な存在です。
朝立ち寄ったコンビニの店員の態度が悪かった。
通勤電車の中で必要以上に寄りかかって来る人がいた。
午後の会議で自分の意見をほとんど聞いてもらえなかった。
家に帰ったら家族が洋服の脱ぎ散らかしたままにしていた。
などなど、毎日の生活の中で、私たちは小さな事柄から大きな事柄まで、いろいろな出来事に怒りを感じる場面があります。
では、一体、この「怒り」とは何なのでしょうか。「怒り」の正体は何なのでしょうか。
怒りは一瞬にして私たちも心の中に湧きかがって来るので、一見、感情そのもののように見えますが、実は、怒りは二次感情だと言われています。そして、その奥にある一次感情は、「寂しさ」、「残念」、「悲しさ」などの感情があると言われています。
これらの一次感情は「自分の期待や欲求に反した行動がとられてしまった。」ということに対する「寂しさ」、「残念」、「悲しさ」であり、「自分の期待や欲求が思いどおりにならなかった。」と言うことに対する感情です。
自分の思いどおりに行動してくれなかった相手に対して「寂しさ」、「残念」、「悲しさ」を感じ、これが怒りに変わっていくのです。
2.どうして怒りを感じてしまうのか
怒りの根本にあるものは、相手への期待や欲求です。そして、この期待や欲求は私たちが自分自身で勝手に相手に対して思い込んだり、膨らませたりしているものです。
「コンビニの店員はこうあるべき。」
「通勤電車の中で出会う人はこうあるべき。」
「会議で自分の意見はこう扱われるべき。」
「家族は家に帰ったらこういるべき。」
私たちは、日々の生活の中で、いつの間にかこういった「あるべき」という姿をたくさん自分の中に作り上げています。
そして、目の前の相手がこれに沿った行動を取らないとき、私たちは、自分自身で勝手に「相手は自分の期待や欲求を裏切った。」と感じ、これに対して、自分で勝手に「寂しさ」、「残念」、「悲しさ」などの一次感情を感じ、これを怒りに変化させているのです。
「怒り」は、自分が勝手に思い込んだ期待や欲求と目の前の現実を自分が勝手に比較をして、そのギャップに自分が勝手に「怒り」を感じているのです。自分が自分の中に自作自演で作り出したものなのです。
3.わき上がった怒りは感じ尽くす
最初にも書きましたが、怒りを感じることは悪いことではありません。全ての感情について言えることですが、自分が感じた感情を見苦しいもの、恥ずかしいもの、好ましくないものと思うことは止めましょう。
人間は思考の動物でもありますが、感情の動物でもあります。毎日、いろんな感情を自分自身が感じることで、他人への共感や思いやりの心が育っていくますし。また、これまでに人が成熟させてきた文化や美術、音楽など、ありとあらゆる人間の文化活動の源は、感情でありこれを無視することは出来ません。
また、無理やり感情をコントロールしようとして、感情を感じない、感情にフタをしてしまうようなこともありますが、自分の中に一度沸き起こった感情を私たちはなかったことにすることはできないので、結局、それは人を変えて、場所を変えて、状況を変えて必ずまた現れます。だから、自分の中からわき起こった怒りは、一度は必ず感じ尽くしましょう。
4.どうすれば怒りを手放すことが出来るのか
(1)怒りは自分自身ではないことを知る
「怒り」は自分自身ではありません。確かに「私は怒っている。」と表現するように怒り=自分のように感じますが、実際のところは、自分自身は「怒り」を「感じている」だけであって、怒りそのものではありません。もっと言ってしまえば、その「怒り」と言う感情を自分が自ら選択して感じているのです。
自分が感じているその「怒り」は、自分の一部ではないし、与えられているものでもなく、自らが選んだものなのです。
(2)怒りを感じた出来事は過去のことであることに気づく
自分が「怒り」を感じたその出来事は、まだ、そこにあるのでしょうか。たいていの場合、出来事そのものは時間の流れとともに去ってしまい、過去のものになっています。そして、自分は過去になったものに対して、未だに怒りを感じ続けています。
周りは時間とともにどんどん変化しているのに、自分だけが過去に取り残されてしまっています。
(3)自分はその怒りをどうしたいのかを自問してみる
自分自身にその怒りを持ち続けたいのか自問してみましょう。
自分がまだ過去になってしまったその怒りを持ち続けることを選択するのであれば、持ち続ければ良いでしょう。先にも書いたとおり怒りの感情を感じることは自らの選択であり、それを自分が選ぶことが出来ます。
しかし、持ち続けたくないのであれば、今感じている怒りを手放しましょう。怒りは自分自身の一部ではなく、与えられたものでもなく、自らが選んで持っているものです。自分で手放すことを決めれば怒りは離れていきます。
(4)やってみて欲しいこと
深呼吸をして自分の呼吸を意識する、自分の身体の一部を触ってそこを意識するなど、他のことに意識を集中する。これだけでも気持ちが治まってくるのを感じられます。視線を意識してずらす、その場を一旦離れるなど物理的に怒りの原因から距離を置くことも効果があります。
人は怒りを感じている時は、精神的にも物理的にも視野が狭くなっていますので、意識してそれを解除しましょう。
怒りを感じることは悪いことではありませんが、いびつな形でそれを持ち続けることや、いつもいつもそれを感じていることは人間関係に大きな影響がありますし、自分自身にとってもよくはありません。
怒りの正体や手放す方法を知り、自分とも周りの人とも円滑な関係を築きたいですね。
今日も最後まで読んでいただいてありがとうございました。
いつもあなたを応援しています。